2025年3月4日に、百条委員会の報告書が兵庫県議会で承認され、一般公開されました。
正式版は兵庫県議会のウェブサイトでも確認できますが、当ブログにも掲載しておきます。また、検索性を高めるために、全文の文字起こしも掲載します。
- 百条委員会報告書(正式版PDFファイル)
- 百条委員会報告書(文字起こし)
百条委員会報告書(正式版PDFファイル)
百条委員会報告書(文字起こし)
兵庫県議会
文書問題調査特別委員会
調査報告書
令和7年3月4日
目次
Ⅰ 文書問題調査特別委員会について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 概要
(1) 設置の経緯及び目的
(2)名称及び定数
(3) 調査事項
(4) 調査権限
(5) 法的アドバイザー
(6) 運営
(7) 調査費用
2 開催状況について
(1) 委員会
(2)協議会
Ⅱ 任意調査について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
1 職員アンケートによる調査
2 聞き取りによる調査
3 書面による調査
Ⅲ 文書の7項目にかかる調査の内容と結果について・・・・・・・・・・・・・・7
1 五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について
2 令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について
3 次回知事選挙に向けた投票依頼について
4 知事が贈答品を受け取っていることについて
5 知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について
6 阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて
7 知事のパワーハラスメントについて
Ⅳ 公益通報者保護にかかる調査の内容と結果について・・・・・・・・・・・・24
Ⅴ 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
Ⅵ 提出を求めた資料一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
Ⅰ 文書問題調査特別委員会について
1 概要
(1) 設置の経緯及び目的
令和6年3月 27 日の知事定例会見において、西播磨県民局長(当時)が知事や職員等の名誉を毀損する事実無根の内容が含まれる文書を作成、流布したとして、同県民局長を解任し退職保留の上、調査するとの発表がなされた。
これを受け、元県民局長は同年4月4日に県の公益通報窓口に文書記載内容の事実解明と是正措置の検討を通報、その後、文書の内容に事実が含まれるとの報道もある中、内部調査を踏まえ5月7日付で同氏を停職3ヵ月の懲戒処分とするとされた。
県議会では、二元代表制の一翼として監視機能を果たすべく、同年6月の第367 回定例会において、本会議質問等で当該文書問題を質した上で、より詳細に文書記載内容の真偽や文書問題に係る一連の流れを調査究明する必要があるとして、地方自治法第 100 条第1項及び同法第 98 条第1項の権限を付与した特別委員会を設置することを議決した。
(2) 名称及び定数
ア 委員会の名称
文書問題調査特別委員会
イ 定数
15 名
ウ 委員の氏名
役職 氏名 会派
委員長
奥谷謙一 自由民主党
副委員長
岸口みのる 維新の会 ※令和7年2月 20 日付で辞任
佐藤良憲 維新の会 ※令和7年2月 21 日付で副委員長に選任
委員
松本裕一 自由民主党
庄本えつこ 日本共産党
青山暁 維新の会 ※令和7年2月 21 日付で選任
丸尾まき 無所属
斉藤なおひろ 維新の会 ※令和7年2月 21 日付で選任
北上あきひと ひょうご県民連合 ※令和6年 11 月 22 日付で選任
上野英一 ひょうご県民連合
越田浩矢 公明党
伊藤勝正 公明党
富山恵二 自由民主党
長岡壯壽 自由民主党
黒川治 自由民主党
藤田孝夫 自由民主党
竹内英明 ひょうご県民連合 ※令和6年 11 月 18 日付で辞任
増山誠 維新の会 ※令和7年2月 20 日付で辞任
(3) 調査事項
令和6年3月 12日付元県民局長の文書に記載されている7項目の内容の真偽及び公益通報者保護に関連する事項
(4) 調査権限
(3)に掲げる事項の調査を行うための地方自治法第 100 条第1項及び第 98 条第1項の権限
(5) 法的アドバイザー
丸山毅 弁護士
本委員会の運営に当たり、地方自治法や民事訴訟法などの法令を遵守し、適正に調査を進めるため、弁護士の専門的見地からの助言を求めるべく第3回委員会(令和6年7月 19 日)において選任した。
(6) 運営
ア 委員会の会議は原則公開とし、インターネットによるライブ中継及び録画配信を行う。ただし、公開することにより事実関係が解明できないおそれがあるとき、個人のプライバシーに関わるとき等は、委員会の議決により秘密会とすることができることとした。
イ 公開の証人尋問を実施する場合においても証人本人の職位、経歴、文書での指摘内容の軽重、希望などを踏まえ、インターネット配信及び報道の撮影等について柔軟に取り扱うこととした。
ウ 委員は、秘密会で知り得た情報は他に漏らしてはならないこととした。
エ 委員会の調査は、基本的人権に最大限配慮して行うこととした。
(特記事項)
R6.7.8(月) R6.7.16(火) 理事会
7 月 2 日付で元県民局長代理人から、人事課が調査で入手した元県民局長のプライバシーに関する資料の取扱については、基本的人権に配慮するよう求める旨の申し入れがあった。真偽の確認とプライバシーは無関係であること、仮に 7 つの項目の真偽を確認するためであっても、プライバシーは法律に基づき守られるものであること等により、元県民局長のプライバシー情報を取り扱わない方針を決定した。
R6.8.2(金)委員会
元県民局長の逝去に鑑み、証言をすることにより不利益を被ることへの懸念や心理的ストレスを訴える職員の声に配慮して、「個人のプライバシーに関わるとき」等以外でも、委員会を秘密会とし、その心理的負担の軽減を図ることができるものと決定した。
R6.10.11(金)委員会
知事選挙への影響を考慮して 10 月 24 日及び 25 日の委員会を秘密会とし、本来は公開対象の録画映像、議事録等については、知事選挙終了後に公開する方針を決定した。なお、10 月 18 日付で齋藤知事代理人から、正式に公開されるまでの間に委員が報道機関への情報伝達や SNS 等で意見を述べないように申し入れがなされた。
R6.10.25(金)委員会
委員長が片山証人による元県民局長のプライバシー情報に関する発言を制止したのは、7 月 16 日の理事会での元県民局長のプライバシー情報に関する合意を踏まえたためである。なお、片山証人がプライバシー情報を話し始めたことは、委員長だけでなく他の委員も認識しており、制止に異議を唱えた委員はいなかった。
(7) 調査費用
令和6年度 900 万円以内
2 開催状況について
本委員会は、令和6年6月 14 日の第1回開催から令和7年3月4日の調査報告書の決定まで、計 18 回開催した。この間、延べ 34 名の証人に対し計約 42 時間に及ぶ質問を行い、公益通報者保護法に精通した弁護士や大学教授を参考人として招致するとともに、84 件の資料請求により不存在を除き提出のあった 73件の資料等を精査し、聞き取り調査や書面調査のほか職員アンケートも行うなど精力的に調査を行い、多様な観点から調査事項の解明を目指した。
(1) 委員会
開催日 項目 内容
第1回 R6.6.14(金)
協議
・委員長・副委員長の互選
・運営要領協議 等
第2回 R6.6.27(木)
協議
・証人出頭要求
・資料要求 等
第3回 R6.7.19(金)
協議
・資料要求
・職員アンケート調査の実施の可否 等
第4回 R6.8.2(金)
協議
・証人尋問の取り扱いの検討
・証人出頭要求(8/23,30 実施分)
・資料要求 等
第5回 R6.8.23(金)
証人尋問
パワハラ等①
B証人(非公開)
C証人(非公開)
D証人(非公開)
E証人(非公開)
F証人(非公開)
G証人(非公開)
協議
・職員アンケート調査(中間報告)
・資料要求 等
第6回 R6.8.30(金)
証人尋問
パワハラ等②
H証人(非公開)
I証人(非公開)
野北浩三証人(公開A)
杉浦正彦証人(公開A)
齋藤元彦証人(公開)
協議
・証人出頭要求(9 月 5,6 日実施分)
・資料要求 等
第7回 R6.9.5(木)
証人尋問
公益通報①、贈答品①
上智大学教授 奥山俊宏参考人(公開)
藤原正廣証人(公開B)
原田剛治証人(公開B)
O証人(非公開)
G証人(非公開)
協議
・資料要求 等
第8回 R6.9.6(金)
証人尋問
公益通報②、贈答品②
原田剛治証人(公開B)
片山安孝証人(公開)
山口利昭法律事務所 山口利昭参考人(公開)
齋藤元彦証人(公開)
協議
・資料要求 等
第9回 R6.10.11(金)
協議
・今後の委員会の進め方
・職員アンケート調査(最終報告)
・証人出頭要求(10 月 24,25 日実施分)
・資料要求 等
第 10 回 R6.10.24(木)
証人尋問
優勝パレード等①
Q証人(非公開)
古川直行証人(公開B)
E証人(非公開)
S証人(非公開)
和泉秀樹証人(公開B)
原田剛治証人(公開B)
第 11 回 R6.10.25(金)
証人尋問
優勝パレード等②
U証人(非公開)
V証人(非公開)
井ノ本知明証人(公開B)
片山安孝証人(公開)
小橋浩一証人(公開B)
協議
・資料要求 等
第 12 回 R6.11.18(月)
協議
・証人出頭要求(11 月 25 日実施分)等
第 13 回 R6.11.25(月)
証人尋問
公益通報等③
Y証人(非公開)
Z証人(非公開)
稲木宏光証人(公開A)
第 14 回 R6.12.11(水)
協議
・今後のスケジュール
・証人出頭要求(12 月 25 日実施分)等
第 15 回 R6.12.25(水)
証人尋問
総括
のぞみ総合法律事務所 結城大輔参考人(公開)
片山安孝証人(公開)
齋藤元彦証人(公開)
第 16 回 R7.1.27(月)
協議
・委員会調査報告書(素案)提示 等
第 17 回 R7.2.21(金)
協議
・副委員長の互選 等
第 18 回 R7.3.4(火)
協議
・調査報告書決定
公開A:インターネット中継なし、傍聴可、報道撮影不可(録音不可)
公開B:インターネット中継あり(証人への配慮あり)、傍聴可、報道撮影不可(録音可)
(2) 協議会
開催日 内容
第1回 R7.2.10(月) ・調査報告書(構成案)協議
第2回 R7.2.18(火) ・調査報告書(素案)協議
第3回 R7.2.21(金) ・調査報告書(統合案)協議
第4回 R7.2.27(木) ・調査報告書(統合案)協議
第5回 R7.3.3(月) ・調査報告書(案)協議
Ⅱ 任意調査について
1 職員アンケートによる調査
調査事項のうち「文書に記載されている7項目の内容の真偽に関連する事項」について、県職員の認識状況を把握し、調査の参考とするために実施した。
- 期間:R6.7.31(水)~8.14(水)
- 件数:6,725 件(内訳:インターネット 6,664 件、郵送 61 件)
- 対象:兵庫県職員 約 9,700 人
- 方法:インターネットもしくは郵送による回答で収集
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A:目撃(経験)等により実際に知っている
B:目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた
C:人づてに聞いた
D:知らない
- Googleフォームの仕様上、誰でも何度でも回答できるアンケートだった。
- 個々のアンケート回答のA~Dへの分類に、誤りが非常に多い
といった理由で、この統計の数値は「何の参考にもならない情報」と考えられます。
2 聞き取りによる調査
本委員会の調査事項である「文書に記載されている7項目の内容の真偽及び公益通報者保護に関連する事項」について、調査の参考とするために、アンケートで聞き取り調査等に協力すると回答した職員等に対して実施した。
調査対象者 | 内容 | 実施日 |
---|---|---|
1025-A | パワハラについて | R6.11.29 |
1025-B | パワハラについて | R6.12.2 |
1211-A | 五百旗頭理事長ご逝去について | R7.1.15 |
迎山志保 議員 | 公益通報について | R6.12.16 |
山口晋平 議員 | 公益通報について | R6.12.16 |
1211-D | 公益通報および人事課調査について USB データについて | R6.12.24 |
1211-E | 優勝パレードについて パワハラについて | R6.12.18 |
1211-F | 贈答品について | R6.12.24 |
3 書面による調査
本委員会の調査事項のうち「公益通報者保護に関連する事項」について、調査の参考とするために、弁護士や有識者に対して実施した。
書面提出を求めた者 | 内容 | 回答日 |
---|---|---|
髙巖 明治大学特任教授 | 公益通報について | R7.1.13 |
徳永信一 弁護士 | 公益通報について | R7.1.24 |
野村 修也 中央大学法科大学院教授、 森・濱田松本法律事務所弁護士 | 公益通報について | R7.2.4 |
Ⅲ 文書の7項目にかかる調査の内容と結果について
1 五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について
〔当該文書記載事項〕
① 令和6年3月6日に五百旗頭真先生が急逝されました。その死に至る経緯が次のとおりです。先生は現在、ひょうご震災記念 21 世紀研究機構の理事長をされています。井戸敏三兵庫県前知事から懇願され、兵庫県立大学理事長をはじめ兵庫県行政に深く関わってこられました。
② 令和3年8月に知事が反井戸の齋藤元彦氏に交代してからは知事はじめ県幹部との関係に溝が出来ていたようです。とにかく齋藤氏は井戸嫌い、年長者嫌い、文化学術系嫌いで有名です。
③ お亡くなりになられた日の前日ですが、齋藤知事の命を受けた片山安孝副知事が五百旗頭先生を訪問。要件は機構の●●●●をされている●●●●●、●●●●●●のお二人の解任についての通告です。相談ではなく、通告です。
④ 来年1月は阪神淡路大震災から 30 年の区切りの時を迎えます。機構の役割・使命を果たす事実上最後の大きな契機であると言っても過言ではないと思います。●●、●●●●●●はまさにこの分野における第1人者であり、井戸前知事が要請し、兵庫県政に関わってこられました。五百旗頭理事長もお二人には全幅の信頼を寄せておられているにも関わらず、このタイミングでの副理事長解任はハッキリ言って、五百旗頭先生と井戸前知事に対する嫌がらせ以外の何ものでもありません。
⑤ あまりに突然の県からの通告に、先生はその時点では聞き置くに止め、片山氏にはお引き取り願ったそうです。その日、帰宅されてからも、齋藤知事のあまりの理不尽な仕打ちに憤慨され、夜も眠れなかったそうです。翌日、機構に出勤されてからも、周囲の職員に同様の胸の内を明かされたそうです。そして、その日の午後に機構の理事長室で倒れられ、急性大動脈解離で急逝されました。
⑥ 急性大動脈解離は激昂などの情動的ストレスがトリガーになることもあるといいます。齋藤知事、その命を受けた片山副知事が何の配慮もなく行った五百旗頭先生への仕打ちが日本学術界の至宝である先生の命を縮めたことは明白です。
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1)委員会としての判断
ア 認められる事実
②について
- ここ1年の間に、五百旗頭理事長が齋藤知事に会う機会はほとんどなく、創造的復興サミットについても何も聞かされていなかった。
- 齋藤知事や県幹部との関係に溝があったかどうか、また、齋藤知事が井戸嫌い、年長者嫌い、文化学術系嫌いかどうかということは確認できなかった。
③について
- 証言、提出資料等によると、令和6年2月 29 日午後5時頃、片山氏が五百旗頭理事長を訪ね、ひょうご震災記念 21 世紀研究機構(以下、同機構)の見直しについて説明した。内容は、(ア)五百旗頭理事長の再任依頼、(イ)副理事長職の整理(2名の副理事長退任により現行の副理事長4人体制から2人体制とする)、(ウ)副理事長が兼務しているセンター長の取扱いについてであり、このことは、事前に片山氏から齋藤知事に説明し、齋藤知事も了承していた。
⑤について
- 五百旗頭理事長は、今回の副理事長職の削減について立腹して眠れなかったと職員に話した。
⑥について
- 元県民局長の陳述書には、片山氏からの副理事長解任の話が五百旗頭理事長の命を縮めた、というのは憶測としている。
イ 事実に対する評価
㋐ 元県民局長の当該文書の記載内容について
元県民局長は、五百旗頭理事長から直接相談をされた職員の話をもとに、文書の本項目を作成しており、その内容については、同職員の証言と概ね一致しているため、齋藤知事の了解を取った片山氏が副理事長解任の通告をしたこと、副理事長解任について五百旗頭理事長が立腹していたこと等、告発文書には一定の事実が記載されているものと考えられる。
一方で、元県民局長の陳述書にも記載があるとおり、面談日等の日にちの聞き間違いによる記載誤りや、五百旗頭理事長が亡くなられた要因は憶測である旨については、元県民局長も認めている。
五百旗頭理事長と齋藤知事の関係性については、阪神・淡路大震災から 30 年の節目を控えている中において、県の創造的復興に長年尽力されてきた五百旗頭理事長との面談機会を齋藤知事が持たなかったことから、五百旗頭理事長と齋藤知事が疎遠だったことをうかがわせる。
文書中の「井戸氏嫌い、年長者嫌い、文化学術系嫌いで有名」については、陳述書に、主に伝聞をもとにしたとされる同機構以外における具体的な例も記載されているが、それらについては証言を得られていないため、この記載の部分は、このことだけで事実であることは確認できていない。しかし、震災 30 年となる重要な時期を直前に、これまで本県の創造的復興に大変貢献されてきた両副理事長を相談等もなく解任しようとしたことは決して丁寧な対応とは言えない。
「五百旗頭先生と井戸前知事に対する嫌がらせ以外の何ものでもありません」についても、両副理事長を相談等もなく解任することが、そのように受け止められる可能性はある。
元県民局長が陳述書で「憶測」と認めているように、片山氏からの副理事長解任の話が五百旗頭理事長の命を縮めたとは言い難い。ただ、副理事長解任の話で立腹され、眠れなかったとおっしゃっていたとの証言から、立腹するほどの大きな心理的ストレスを与えたことは推察できる。
以上より、文書の記載内容については、信頼できる情報源に基づいており、概ね事実と言えるが、一部で事実誤認、憶測、疑いにとどまるものも含まれていると言える。
㋑ 団体の人事への県の関与について
同機構の定款には、役員の選任について、第 24 条第1項に「理事及び監事は、評議員会の決議によって選任する」、第2項に「理事長、副理事長、専務理事及び業務執行理事は、理事会の決議によって理事の中から選定する」と定められていることから、副理事長の選任は、評議員会、理事会の決議をもって決定されるものである。片山氏は、五百旗頭理事長と面談した令和6年2月 29 日時点では、同機構の評議員ではあったが、証言や提出資料から、片山氏は評議員の立場としてではなく兵庫県副知事の立場として訪問し、外郭団体の見直しの一環として副理事長解任の通告を行っている。
特に今回整理対象となった副理事長は、県職員や県職員OBではなく、本県の創造的復興に大変貢献してきた外部有識者であるため、仮に震災 30 年を前にしたタイミングで役職を整理するのであれば、なおさら今回のような副知事による通告は大変失礼な行動であることは自明であり、まずは知事自らが理事長に相談する等、より丁寧な対応が必要であったと考えられ、組織再編や人員削減を急いだ感が拭えない。
(2)提言
知事当局に以下のことを求める。
- 県関連団体の人事制度についてのルールの明確化、運用の透明化を図ると同時に団体との丁寧なコミュニケーションに努めること。
- 公社や外郭団体の再編や人員削減においては、憶測や不信感が生まれないよう、対象団体の状況を公正公平に判断し、当事者をはじめ関係者に十分理解いただくよう努めること。
2 令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について
〔当該文書記載事項〕
① 令和3年7月 18 日執行の兵庫県知事選挙に際して、兵庫県職員である●●●●●、●●●●、●●●●、●●●●は、選挙期間以前から齋藤元彦立候補予定者について、知人等に対する投票依頼などの事前運動を行った。●●●は自分の居住地である●●●●●幹部等に対して「自分は選挙前から齋藤のブレーンだった。お前ら言うこと聞けよ」と恫喝している。
○公職選挙法違反、地方公務員法違反
また、選挙公約の作成、選挙期間中の運動支援など、多岐にわたり選挙運動を手伝った。
○地方公務員法違反
② その時の論功行賞で、この4人はそれまでの人事のルール無視でトントン拍子に昇任。結果的に彼らが行ったことを裏付けすることとなっている。
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
①について
- 文書記載の職員が令和3年の知事選に際しての投票依頼などの事前運動や選挙公約の作成に関わったということ、うち1名が他の自治体職員を恫喝したということは確認できなかった。
②について
- 文書記載の職員については昇任が早かった者もいるが、論功行賞によって昇任がトントン拍子だったということは確認できなかった。
イ 事実に対する評価
令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について、文書記載の職員のいずれも事前選挙活動等を手伝ったことを否定しており、違法行為は認められなかった。
また、4氏が県重要施策の主要ポストに就任していること、なおかつ、短期間で昇任していることが認められる者がいることからの推測による記載と思われるが、知事選挙を手伝ったことによる論功行賞があったということについては、うち2名は知事選挙前にそれぞれ本庁部長級・次長級となっており、「トントン拍子に昇任」とまで言えるかどうかはわからない。そのほかの2名は、それぞれ部長級への昇任、次長級への昇任が早かったことは事実であるが、論功行賞によるものという証言は確認できなかった。したがって、この件にかかる「論功行賞」や「人事のルール無視」といった文書の記載内容や違法行為を裏付ける証言等は確認できなかった。
(2) 提言
特になし。
3 次回知事選挙に向けた投票依頼について
〔当該文書記載事項〕
令和5年下半期から齋藤元彦兵庫県知事は、次回知事選挙時の自分への投票依頼を始めている。産業界については●●●●●●●●●●が随行。
具体的には、令和6年2月 13 日に但馬地域の商工会、2月 16 日に●●●●●●●へ出向き、投票依頼したことを確認している。その他の市町の商工会議所、商工会へも働きかけを行っている様子。
○公職選挙法違反、地方公務員法違反
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
- 令和6年2月(令和5年度下半期)に齋藤知事が、経済団体の商工会・商工会議所を令和6年度当初予算概要や経営指導員見直しの説明のため訪問し、それに産業労働部長が随行していたことは確認できたが、次回知事選挙時の齋藤知事への投票依頼であったかは確認できなかった。
イ 事実に対する評価
産業労働部長は商工会・商工会議所の訪問目的は令和6年度当初予算等の説明であるとして、投票の依頼を目的としたものであることを否定している。この件にかかる文書記載の違法行為を裏付ける証言等は確認できなかった。
(2) 提言
特になし。
4 知事が贈答品を受け取っていることについて
〔当該文書記載事項〕
齋藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名。知事の自宅には贈答品が山のように積まれている。
① (例1)
令和5年8月8日、兵庫型奨学金返済支援制度利用企業の視察として訪れた●●●の●●●●●●(●●●●のトースターで有名)における出来事。周囲にマスコミがいるため、●●の幹部から贈呈された高級コーヒーメーカーをその場では「そんな品物は頂けません」と辞退。一方、随行者の●●●●●●●●●●に向かって「みんなが見ている場所で受け取れるはずないやろ。失礼な。ちゃんと秘書課に送るように言っておけ!」と指示。後日、無事にコーヒーメーカーをゲットしている。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。
② (例2)
令和5年7月に●●●●●●●●●●●●●と兵庫県はスポーツ連携協定を結んだ。そして、ヘルメット着用のキャンペーンを展開している。そのPR用の写真は●●●●のロードバイク(約 50 万円)に跨がる知事。そのバイクは撮影の後、知事へ贈呈された模様(偽装的に無償貸与の形をとる、ほとぼりが冷めるまで県庁で保管するなどの小細工がなされているかも知れません)。特定の営利企業との包括協定は、企業にとっては絶好のPRとなり、その見返りとしてのロードバイクの贈呈となると完全な贈収賄である。
これらは全て●●●●●●●●●のアレンジ。
③ (例3)
●●●●●●からは、特産品のゴルフのアイアンセット(約 20 万円)が贈呈されている。しかも、使いにくいからと再度、別モデルをおねだりしたという情報もある。特別交付税(市町振興課所管)の算定などに見返りを行った可能性がある。
●●●●●●●●●●●●は知事と同じ総務省からの出向にも関わらず、知事から考えられないくらい冷遇されているが、その辺りを忖度しなかったことへの面当てかも知れない。
④(例4)
知事は驚異の衣装持ち。特にスポーツウエア。メーカーにすれば知事は動く広告塔。これも貸与だと言えるのかどうか。特定企業(例えば●●●●●)との癒着には呆れるばかりである。
⑤ そもそも、視察先やカウンターパートの企業を選定する際には、“何が貰えるか”が判断材料だとか。企業リストには備考欄があって、“役得”が列記されているとか。
⑥ そして、とにかく貰い物は全て独り占め。特産品の農産物や食品関係も全て。あまりの強欲、周囲への気配りのなさに、秘書課員ですら呆れているという噂。もちろん、出張先での飲食は原則ゴチのタカリ体質、お土産必須。そのため、出張先では地元の首長や利害関係人を陪席させて支払いをつけ回す。出張大好きな理由はこれ。現場主義が聞いて呆れる。
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
①について
- 原田氏は企業からコーヒーメーカーを受けとっていたが、返却していなかったことを令和6年3月 21 日の知事協議の時点で齋藤知事に謝罪した。この謝罪があったことを片山氏、小橋氏、井ノ本氏も認めている。
- 一方、齋藤知事は、原田氏がコーヒーメーカーの返却を失念していたことを謝罪したことや「早く返しなさい」という指示をした記憶はないと証言しており、認めていない。
- 齋藤知事がコーヒーメーカーを受け取ったことは確認できなかった。
②について
- ロードバイクは県に無償貸与されていた。この無償貸与については、井ノ本氏のアレンジによるものであるということは確認できなかった。
③について
- 県として市川町から仕掛品(製造工程ごとの金物一式)とアイアンクラブ1本の贈呈を受けて、知事室に飾っていた。
- 齋藤知事が個人として市川町からアイアンクラブをもらったことは確認できなかった。
- 片山氏は県内商工会から、アイアンクラブ(SW、AW6万円相当)を受け取っている。
④について
- 特定企業との癒着は確認できなかったものの、齋藤知事は、複数着のスポーツウェアをスポーツメーカーから無償貸与してもらっている。
⑤について
- 視察先やカウンターパートの企業を選定する際のリストに役得の記載があるということは確認できなかった。
⑥について
- 齋藤知事は、秘書課の職員だけが差し入れられたものをもらえるのはいかがなものかという判断から、自分が持ち帰っていると証言しており、土産の多くは齋藤知事が持ち帰っている。また、齋藤知事は県のPRとして下記物品を受け取り、また、長期貸与を受けていた。椅子とサイドテーブル、姫路城のブロック、スポーツメーカーの靴、海苔、蟹、牡蠣、日本酒、岩津ネギ、淡路玉ねぎ、播州織の浴衣・ジャケット・ネクタイ、スポーツチームのユニフォーム
- 県として、齋藤知事が受領した物品全てについて把握できていなかった。
- 齋藤知事が、出張先で地元の首長や利害関係人を陪席させて、飲食代を支払わせるということは確認できなかった。
- 知事から提出のあった物品一覧表によれば、知事はユニフォーム(サッカー)4着、ユニフォーム(バスケットボール)2着、ユニフォーム(バレーボール)2着、ユニフォーム(ラグビー)3着、ユニフォーム(野球)1着、Tシャツ5着、ジャージ(秋冬用)、ジャージ(春夏用)、シューズ3足、コート2着、ポロシャツ、播州織ジャケット2着、播州織浴衣、法被(鏡開き用)2着等を受け取っており、その中には特定企業のものも含まれている。
- 総務常任委員会で浴衣やスポーツウェアのクリーニング代を公費から支出していることが確認されている。
イ 事実に対する評価
例1のコーヒーメーカーについては、原田氏が、3月 21 日の協議時点で返却していなかったことを報告し謝罪したことを証言し、片山氏、小橋氏、井ノ本氏もそのことを裏付ける証言をしているが、齋藤知事は報告を受けたことの記憶はないと証言しており、証言に食い違いがある。また、部下である原田氏が企業にコーヒーメーカーの送付を依頼し、県庁内において保管していたという状況は、齋藤知事が自分の支配下にコーヒーメーカーをいつでも使用又は処分できる形で保管していたものであり、外形的に見れば、齋藤知事がもらったとみられても仕方がない。
「貰い物は全て独り占め」という記載に関しては、齋藤知事は、秘書課の職員だけが分けてもらえるという問題を起こさないため自分がその多くを自宅へ持ち帰ることを認めており、贈答品のPR等がなく個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない。こうした行為が「おねだり」との憶測を呼んだことは否定できない。
したがって、文書の記載内容については、一部で事実誤認や憶測も含まれてはいるが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。
また、県の規定がない無償貸与の浴衣やスポーツウェアに公費からクリーニング代を支出していたことも不適切である。
(2) 提言
知事当局に以下のことを求める。
- 齋藤知事が県産品のPR目的あるいは社交儀礼のために、贈答品を受け取ることは一定の限度でのことなら理解できるが、県民や職員に疑念を抱かせないためにも贈答品に関するルールづくりが必要である。この点については、令和6年4月4日付けの職員公益通報事案に対する調査結果及び公益通報委員会の審議等を踏まえ、12 月 11 日に「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」の中で物品受領ルールを明確化することが記者発表されており、一定の措置が講じられているが、知事側から求めること(贈答品の要求および打診)の禁止や贈答品を受け取らない一定の基準を客観的(金額等)に示すこと。
- 加えて接待供応についてのルールの明確化も図ること。
- ルール遵守を担保するために報告や検証を徹底し、県民からの信頼を得られるよう努めること。
- 齋藤知事には、社会的影響力の大きい県知事という立場を踏まえ、贈答品を受け取ることに慎重であること。
5 知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について
〔当該文書記載事項〕
① 令和5年7月 30 日の齋藤知事の政治資金パーティー実施に際して、県下の
商工会議所、商工会に対して経営指導員の定数削減(県からの補助金カット)
を仄めかせて圧力をかけ、パー券を大量購入させた。実質的な実行者は片山副
知事、実行者は●●●●●●●●●●●●●●●●。
② また●●●●●●●●●●●●●●、●●●●●による保証業務を背景とし
た、企業へのパー券購入依頼も実行された。●●●●●は片山副知事から県職
員OBによる齋藤知事後援活動の責任者を依頼され、交換条件として厚遇の●
●●●●●●●●に異例の抜擢をされていた。
③ この件は準公的な機関である●●●●を舞台にした政治活動なのでさすが
に危険を感じたのか、●●●●●は1年で退任し、●●●●●の監査役へ行く
ようである。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。今後、
県から●●●●●へなにがしかの利益供与があるものと思われる。
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
①について
- 令和5年7月の齋藤知事の政治資金パーティー実施のために、パーティーの運営やパーティー券販売を齋藤知事が片山氏へ依頼したことは事実だが、県下の商工会議所、商工会に対して経営指導員の定数削減をほのめかせて圧力をかけたという事実や保証業務を背景とした購入依頼は確認できなかった。
②について
- 県信用保証協会幹部は片山氏の指示のもと、片山氏がお願いした全 18 商工会議所等へ政治資金パーティー実施のために名簿を集めに行っており、その際に信用保証協会の名刺を差し出していた。
- 商工会議所訪問の際、「できる範囲で購入をお願いします」とパーティー券購入を依頼した。
- 片山氏から県職員OBが齋藤知事の後援活動の責任者を依頼され、交換条件として異例の抜擢をされたということは確認できなかった。
イ 事実に対する評価
令和5年7月の齋藤知事の政治資金パーティーについて、パーティーの運営やパーティー券販売を片山氏へ依頼したこと、片山氏が県信用保証協会理事長はじめ協会幹部に、政治資金パーティー実施のために商工会議所等へ名簿を取りに行かせたこと等は確認できたが、商工会議所や商工会に対して経営指導員の定数削減を圧力にパーティー券を購入させたという事実は確認できず、文書に記載の該当箇所は事実誤認の可能性もある。
次に、信用保証協会幹部によるパーティー券購入依頼については、幹部が信用保証協会の名刺を差し出し、「できる範囲で購入をお願いします」と商工会議所側に依頼している。名簿を受け取りに行く際に、私用車の使用と休暇を取得していることには一定の認識があると思われる半面、面談の際に信用保証協会の名刺を差し出していることに対しては、経済界に影響力のある信用保証協会幹部という立場を踏まえると、商工会議所は事実上、信用保証協会の幹部からの申し出を断りにくいという側面も容易に想像できる。
さらに、片山氏は、信用保証協会の理事長としてではなく県職員OB個人として、政治資金パーティーのチラシ配布先名簿の収集を依頼したとの証言があったが、相手方へ信用保証協会の身分を示したうえで、商工会議所と接触している以上、保証業務を背景としたパーティー券購入依頼との疑念を抱かれてもやむを得ない不適切な行為であった。県信用保証協会理事長が「OBとして活動しているので問題ないと思っていたが、信用保証協会理事長という立場では軽率だった」と認めているように、経済界に影響力のある立場を利用して疑念を抱かれる行動をとっていたことは否めない。
一方、これら政治資金パーティーへの協力により、人事面での厚遇を得たという事実や「なにがしかの利益供与」は確認できなかった。
以上のことから、文書の内容には一部で事実誤認や憶測も含まれているが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。
(2) 提言
知事当局に以下のことを求める。
- 県職員OBが外郭団体等の幹部の立場を利用していると疑われることがないよう、知事選挙に関する県職員OBを対象としたルールをつくること。
- 県関連団体の倫理規定は一般職を対象としているが、役員も含めた政治活動や選挙活動に関わる倫理規定等を定めること。
- ボランティアでのパーティー券販売においては、個人としての名刺を手渡すなど違法行為と疑念を抱かれないよう、より一層の配慮を行うこと。
6 阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて
〔当該文書記載事項〕
① 令和5年 11 月 23 日実施のプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードは県費をかけないという方針の下で実施することとなり、必要経費についてクラウドファンディングや企業から寄附を募ったが、結果は必要額を大きく下回った。
② そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで補った。幹事社は●●●●●●。具体の司令塔は片山副知事、実行者は産業労働部地域経済課。
③ その他、●●●●などからも便宜供与の見返りとしての寄附集めをした。
④ パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に●●が持たず、●●●を●●し、現在、●●●●●。
⑤ しかし、上司の●●●は何処吹く風のマイペースで知事の機嫌取りに勤しんでいる。
○公金横領、公費の違法支出
(注釈)●は個人情報等に配慮して伏字
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
事実経過
R5.10.17(火)
当初、パレード必要経費を大阪府と兵庫県合わせて5億円と想定し、個人向けのクラウドファンディング及び企業協賛の募集を開始した。
11.9(木)
産業労働部から財政課に中小企業経営改善・成長力強化支援事業について1億円で予算要求資料を提出した。
11.10(金)
パレード委託業者より見積額が 6.5 億円と提示されるが、現状の収入額と大きな乖離があった。
11.14(火)
大阪府より不足額のうち、2,000 万円を確保するよう依頼があった。
11.16(木)
片山氏から事業費を1億円から4億円程度に増額するよう財政課に指示があり産業労働部に伝達され、産業労働部から財政課に 3.75 億円で積算資料が再提出された。
11.17(金)
片山氏より協賛金依頼は 11 月 20 日までにする旨のメールがあり、U証人は 11 月 14 日の 2,000 万円の件は目途がついたと受け取った。
その後、大阪府より更に追加で 2,000 万円を確保するよう依頼があった。
11.20(月)
片山氏が信用金庫理事長に連絡した。
11.21(火)
片山氏が信用金庫理事長に面談し、協賛金の取りまとめを依頼した。各信用金庫に依頼するに当たり目安の金額が必要であるため、理事長が総額で 1,000 万円か 2,000 万円かと聞いたところ、片山氏から 2,000 万円いただけるとありがたいと発言があり、2,000 万円を目標に理事長から各信用金庫に協力を依頼した。
知事査定で事業費を4億円で計上するよう指示があった。
11.22(水)
理事長から各信用金庫が了解したとの報告があり、11 月 17 日に大阪府から依頼のあった 2,000 万円確保の目途がついた。
11.23(木・祝) [パレード当日]
信用金庫からの協賛金の大部分はパレード終了後に入金された。
①について
- 11 月 13 日時点で、6.5 億円の見積額に対し、クラウドファンディングや企業からの寄附で募った金額は 3.2 億円と必要額を大きく下回っていた。
②について
- 信用金庫への県補助金が片山氏や齋藤知事の指示により増額された。
- 片山氏がパレード直前に信用金庫へ協賛金の協力を依頼し、2,000 万円の協賛金を集めた。
- 県から信用金庫への補助金を募金としてキックバックさせたということは確認できなかった。
③について
- 民間企業が便宜供与の見返りとして寄附集めをしたということは確認できなかった。
④について
- パレードを担当した課長が不正行為に関わったことは確認できなかった。
- 県は、大阪府やパレード委託業者とパレード開催に向けて、難しい調整を行っていた。担当課長は翌年1月下旬から病休を取っていた。
イ 事実に対する評価
パレードの事業費は 6.5 億円にまで増えたが、収入面では、資金調達が難航し、パレード後も継続して資金調達をする異常な状況に追い込まれていた。信用金庫への協賛金依頼と補助金増額の関連性(文書ではキックバックと表現)については、11 月 14 日及び 11 月 17 日に大阪府から、それぞれ 2,000 万円の収入確保を依頼された後、片山氏がパレード直前に信用金庫へ協賛金の協力を依頼し、2,000 万円の協賛金を集めた時期が、県補助金が増額された時期と符合することや、広告も出せないなど何のメリットもない中で 2,000 万円もの協賛金への協力が1日でとりまとめられ、パレード後に入金されていること等、不自然な点も見受けられるが、当事者である片山氏をはじめ原田氏らは関連を否定、信用金庫の理事長も協賛金への見返りを求めたことはないと否定している。
次に、便宜供与の見返りについては、所管部局の証言では、委託業者がパレード用バスの選定を行ったこと、そもそもパレード用のバスを所有している企業が県内にほかにないことなどから、否定している。
上司から責任感が強いと証言があった課長はいつも朝早くに出勤し、夜は最後まで残って業務に携わっており、パレードの業務を離れたいと申し入れる事態は、極限の精神疲弊状態と推認される。
したがって、文書の記載内容については、一部で事実誤認や憶測も含まれてはいるが、一定の事実が記載されており、虚偽の内容とまでは言えない。また、公金横領や公費の違法支出は認められなかったものの、本件については、背任容疑の告発状が県警に受理されており、捜査当局の対応を待ちたい。
(2) 提言
知事当局に以下のことを求める。
- 大規模な事業やイベントを行う場合は、現場から上層部へ現実的な企画立案をもとにした協議を行うことが重要であり、知事や幹部の発案については、現場レベルでの実現可能性(明確な事業目的、十分な準備期間、入念な資金計画)の検討を行ったうえで意思決定することが求められ、計画通りに進まなかった場合は、柔軟に軌道修正すること。
- 県が利害関係のある企業・団体に寄附金や協賛金を依頼するにあたっては、行政運営に不信感を抱かれないよう細心の注意を払うこと。
- 刑事告発されている背任容疑について、県関係者が起訴され有罪となる事態となった場合は、齋藤知事自らの管理責任を重く受け止め対処すること。
7 知事のパワーハラスメントについて
〔当該文書記載事項〕
知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる。 執務室、出張先に関係なく、自分の気に入らないことがあれば関係職員を怒鳴りつける。
例えば、出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20m程手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかったという。
自分が知らないことがテレビで取り上げられ評判になったら、「聞いていない」と担当者を呼びつけて執拗に責めたてる。
知事レクの際に 気に入らないことがあると机を叩いて激怒するなど、枚挙にいとまがない。
また、幹部に対するチャットによる夜中、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる。日頃から気に入らない職員の場合、対応が遅れると「やる気がないのか」と非難され、一方では、すぐにレスすると「こんなことで僕の貴重な休み時間を邪魔するのか」と文句を言う。
人事異動も生意気だとか気に入らないというだけで左遷された職員が大勢いる。これから、ますます病む職員が出てくると思われる。
○(職員からの訴えがあれば)暴行罪、傷害罪
(1) 委員会としての判断
ア 認められる事実
知事のパワーハラスメントについて
㋐ 齋藤知事は、令和3年9月頃、朝刊に載っていた尼崎のフェニックス用地に万博資材の運搬拠点を設ける方針を固めたという記事について、「こんな話は聞いていない」と机を叩きながら声を荒げて怒った。
㋑ 令和5年5月、施設の開設について、齋藤知事に説明したところ、「こんな話聞いていない」と叱責があり、令和5年度当初予算の記者発表資料を見せたところ、「これで知事が知っていると思うなよ」という強い叱責が再びあり、開所式のスケジュールを変更せざるを得なくなった。
㋒ 齋藤知事は、令和4年 10 月のイベントで、更衣室に見知らぬ男性がいたため驚いて、事前に確認して更衣室を用意しておくべきだったのではないかと職員に注意した。
㋓ 齋藤知事は、令和5年 11 月の東播磨地域づくり懇話会において、エントランスにつながる通路の車止めの手前で知事公用車が停車して車から降りてきた時に、「なんでこんなところに車止めを置いたままにしているんや」と県幹部職員に対し怒鳴った。当該職員は、非常に強い叱責のため頭の中が真っ白になった状態で車止めを移動させた。知事は、職員が車止めを移動させた後も非常に強い叱責をした。職員は、社会通念上、業務に必要な範囲の指導とは思わず、理不尽な叱責を受けたと感じた。その後、知事が会場を後にする際、職員に対し、謝罪やねぎらいはなかった。
㋔ 齋藤知事は、片山氏に対し、令和6年3月上旬頃、県立大学の無償化の国会議員等への根回しに、すぐ動くようにと指示したことを片山氏が忘れていたことに怒り、アクリル板に向けて付箋を投げた。
㋕ 齋藤知事は、所管課長に対し、令和5年1月の知事協議の際に、政務調査会資料に記載のあった所管事業が朝刊に載っていた記事を見て、「大阪府と連携すると書いている。これ聞いてへん。この事業は知事直轄なんだから勝手にやるな」と、かなり厳しい口調で叱責し、「やり直し」と所管課長を知事室から退室させた。所管課長は再度、知事に説明しようと何度も秘書課に伝えたが、説明の機会がなかった。所管課長は1年で異動した。
㋖ 齋藤知事は、令和5年度、複数の幹部職員との間で、全部で 4,885 件のチャットのやり取りをし、そのうち約 44%の 2,165 件が夜間や休日に送られた。
イ 事実に対する評価
齋藤知事が、執務室や出張先で職員に強い叱責をしたことは事実と評価でき、文書内容は概ね事実であったと言える。
齋藤知事の「業務上必要な範囲で指導や注意をした」との証言に対して、叱責を受けた側の証言では、事情を確認されることなく「社会通念上必要な範囲とは思わなかった」「指導として必要のない行為」「理不尽な𠮟責だった」、「県職員になってこれまでないというぐらいの叱責を受けた」や、「県庁での職員生活の中で、机をたたいて怒鳴られたというようなことが初めてだった」、他の職員がいる前で「頭が真っ白になるほどの叱責」、さらに「異動させられるという予感のもと実際に1年で異動させられ理不尽と感じた」「トータルに見てパワーハラスメントと評価できる事案かなと思った」等の証言があったことを踏まえると、「パワハラを受けた」との証言は無かったものの、パワハラ防止指針が定めるパワハラの定義である「①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」に該当する可能性があり、不適切な叱責があったと言わざるを得ない。
県事業がテレビで取り上げられた件であるが、県の事業は膨大にあるため、テレビで知事の知らないことが取り上げられることもあり、「聞いていない」ことを理由に職員を叱責することは妥当性を欠いた行為である。仮に叱責することがあるとすれば、テレビでの県職員の説明に大きな過失があり、県に損害を生じさせる恐れがあった場合などが考えられるが、証言等で明らかになったケースは、そのような場合にあたらない。
知事協議の際の叱責であるが、部局の説明をよく聞いていない、あるいは聞いていても失念していると思われる事業に対して、全く知らないということで、説明する機会も与えずに「聞いていない」と叱責するとの証言が複数あったことから、事業への関心の度合によって、認識の深さに差が生じていると思われる。また、部局の説明時に齋藤知事は別のことをしているなど、説明を真剣に聞いていないと感じたとの証言があったことも踏まえ、どの事業も同じ目線で担当課の説明を聞くという姿勢が欠けており、知事としての対応に疑問が残る。
考古博物館で 20m 歩かされた件に関連して、齋藤知事の発言から行程管理を重要視していることは理解できる一方で、知事自身が朝の予定時間によく遅れてくる、また、その際に謝らないこともあるとの証言もあることから、部下には高い水準を課しながら、自分はその基準を守らず特別扱いとする態度は、公平性と信頼を損なう言動であり、本来は模範となるべき知事の取る言動ではない。また、齋藤知事は車から降りるなり、対応した職員に対し、車止めをしている理由を聞くこともなく、大声で叱責をしている。職員からすれば、車止めを入り口から 20m離れたところに設置したことは会場施設のルール上やむを得ないものであり、車止めを認識した後も強い叱責することは不合理であり、極めて理不尽な叱責であると言える。
叱責の際に付箋を投げる行為は、知事という立場に鑑みると、投げたものの形状にかかわらず、その行為自体威圧的なものであり、副知事その他職員を萎縮させるものである。
齋藤知事の非常に強い叱責や理不尽な言動によって、職員が齋藤知事に忖度せざるを得ず、救護室・授乳室を知事の控室にしたり、車両が通行できない範囲に知事公用車を通行させたりする等、ルールに則った県民本位の職務遂行が叶わなくなっている面があり、極めて深刻な事態が確認できた。
また、強い叱責を受けた当事者本人の就業環境に明らかな影響がなくとも、実際に見聞きしている同僚への心理的負担や組織の閉塞感につながり、適切な職場環境を構築するべき組織のトップの言動としては極めて不適切である。
さらに、職員の証言や提出資料によると、齋藤知事から幹部職員へのチャットの数は膨大なもので時間外や休日問わず頻繁に送られていた。1年間に複数の幹部職員との間で夜間、休日などの業務時間外のチャット数は 2,165 件と多く、その内容については業務上必要性が認められるものもあるが、夜間や休日に送信しなくても問題ないと思われるものもあった。もっとも、夜間、休日の送信頻度や「返信不要」などの配慮がないこと、チャットでの反応がない時に関係職員に業務時間外に電話をかける行為もあり、緊急性を要しないにもかかわらず、夜間や休日にクイックレスポンスを求めることは働き方改革が求められる今日において、前時代的な仕事のやり方であると言わざるを得ず、業務の適正な範囲を超えたものであり、就業環境を害されているといえる。また、チャットのグループ内で叱責するなど一部の内容については、職員らの過度な精神的負担になっていたと考えられる。
以上のように、齋藤知事の言動、行動については、パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった。
(2) 提言
証言にもあるように、明らかに業務上必要な叱責ではなかったことも認められるが、齋藤知事は「業務上必要な範囲で指導や注意をした」との認識を変えていない。業務上必要な範囲ではない、不適切な指導が複数あったということをまずは知事自身が認めることが重要であり、言動を真に改める姿勢を持たなければならない。
一方で、昨年4月4日付けの職員公益通報事案の調査結果及び公益通報委員会の審議等を踏まえ、12 月 11 日に「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」の中でハラスメント研修の充実として組織マネジメント力向上特別研修の実施が是正措置として記者発表され、一定の措置が講じられており、是正する必要があるとの認識が示されていると考えられる。
知事当局に以下のことを求める。
- 知事、副知事などの特別職を含め管理職等のアンガーマネジメント研修などを行い、風通しの良い職場環境が確立できているか定期的に検証する仕組みを取り入れること。
- チャットやメールについては、特に夜間や休日に指示をする際には、緊急性を要する用件のものに限るか、緊急性がないチャットやメールには即時の返信を必要としない、あるいは返信を求めないなど取り扱いを定めること。
- 齋藤知事は、組織のトップとして、自身の言動が組織に及ぼす影響を常に意識するとともに、多様な意見に耳を傾けることで率先して働きやすい職場づくりに努めること。
Ⅳ 公益通報者保護にかかる調査の内容と結果について
1 委員会としての判断
ア 認められる事実
事実経過
R6.3.12(火)
元県民局長が文書をマスコミ、県会議員、警察に配布。
3.20(水)
齋藤知事が当該文書を民間人から入手。
3.21(木)
当該文書に関する協議のため、齋藤知事が片山氏、小橋氏、井ノ本氏、原田氏を招集し、片山氏らに文書の作成者や目的を含め、調査するように指示。この際、公益通報者保護の議論はなかった。
3.22(金)
3.23(土)
人事当局から元県民局長の公用メール1年分を調べるように指示を受けた担当課長はデータを人事当局に提出。公用メールの調査にあたって本人の同意は得ていない。(4月下旬に元県民局長の公用パソコンのファイルの操作ログ3年分も提出した。)
3.23(土)
齋藤知事は、片山氏から元県民局長の事情聴取を行うという提案を受け、それを了承。調査については片山氏に一任された。
3.25(月)
片山氏及び人事当局が元県民局長及び職員2名の聞き取り調査を実施した。片山氏は元県民局長の調査の際、公用パソコンに私物USBがあったが、取り外すように指示し、公用パソコン1台だけを県庁に持ち帰った。なお、職員1名の私用スマートフォンのLINEの調査も行った。
元県民局長から人事当局に電話があり、「自分単独で作成し、噂話をまとめたもので、周囲の者を巻き込まないように」との要請があった。
3.26(火)
元県民局長の退職保留が決まった。
3.27(水)
小橋氏は、齋藤知事に対し、教育委員会ではこのような問題の時には第三者に調査させることが多いと進言。
人事当局の用意した知事記者会見での想定問答は、内容の詳細については調査が必要なので言えないという説明だったが、齋藤知事は元県民局長が作成した文書について「嘘八百」「元県民局長本人は認めている」と発言。
4.1(月)
人事当局は、県の特別弁護士に、第三者機関調査やSNSでの当該文書の拡散、公益通報としての取扱いの要否などを相談。
特別弁護士からは、公益通報の手続がされた段階でいったん判断する必要がある、第三者機関調査については、費用や時間を要することから内部調査で十分との見解を得る。
4.4(木)
元県民局長が公益通報受付窓口に通報。
人事当局によれば、4 月 4 日に元県民局長が公益通報受付窓口に通報した時点で、公益通報の調査結果を待たないと処分はできないと考え、すぐに小橋氏と井ノ本氏に進言し、齋藤知事も了承したとのこと。
なお、齋藤知事はこうした進言を受けた記憶がないと否定している。
4.15(月)
齋藤知事は、「風向きを変えたい」との理由から、処分をできるだけ早くしたほうがいいと指示。
人事当局によると、井ノ本氏から公益通報の調査結果を待たずに処分できないか検討を指示されたが、公益通報の結果を待つべきと進言した。
なお、齋藤知事は人事当局に対して流れを変えるために公益通報の調査結果を待たずに処分できないかと指示した記憶はないと否定している。
4.17(水)
人事当局によると知事の指示による井ノ本氏と人事当局との元県民局長の処分スケジュールのやりとりは下記のとおり。
・4月 24 日に処分する案の作成を井ノ本氏が指示
・4月 24 日に処分する案を井ノ本氏に提出し、齋藤知事が了解
・人事当局が 4 月 24 日処分案は現実的に無理と判断し、5月 17 日処分案を井ノ本氏に相談。井ノ本氏からは5月 10 日を案1、5月 17 日を案2とする指示があり、齋藤知事は5月 10 日で了解した。
4.24(水)
人事当局によると、井ノ本氏から連休明けの5月7日処分案の指示があり、弁護士と相談して処分日を5月7日に決定した。
井ノ本氏は、人事当局との処分日のやり取りは自分の判断ではなく、知事と話をした上で日程を決めたと証言している。
なお、齋藤知事は5月7日処分の決定事項を報告されたと証言している。
5.2(木)
元県民局長に対する綱紀委員会が開催された。
5.7(火)
元県民局長の処分を公表。
イ 事実に対する評価
1 公益通報者保護法違反について
(1)外部公益通報
元県民局長は、議員、マスコミ、警察の特定の者に文書を配布している。
齋藤知事は真実相当性が認められないと再三説明をしているが、真実相当性は公益通報に当たるか否かとは関係がなく、保護要件にとどまる。
元県民局長の公用メール及び公用パソコンに保存された資料に基づき、クーデターや転覆といった言葉が並んでいたことや、元県民局長作成の人事案や知事を貶める資料があったことなどをもって、文書配布は不正な目的の行為に当たり、公益通報ではないと判断したという証言がある。しかし、当該文書入手(3 月 20 日)、協議時点(3 月 21 日)ではまだ公用メール及び公用パソコンの調査は行われておらず、当該文書の内容から不正な目的が明らかでない限り、公益通報ではないとの判断は調査後に行われるべきものであり通報時ではない。仮に公用メール及び公用パソコンの調査も含めて3月 22 日に作成者の特定を開始したことの正当性を主張するのであれば、公益通報者保護法に基づく指針に定められた「通報者探索防止措置」は事実上意味がなくなり、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関がとってよい行為とは考えられない。さらに「通報者探索防止措置」を認識せず行われた調査の中で、公用 PC の中の情報から非違行為を認定し懲戒処分にしたことは、違法収集証拠排除法則の法理に反するものであり、告発者潰しを行う材料にしたことは非常に不適切であると考える。
なお、人事当局は特別弁護士に相談の上、不正の目的があったと判断したことはないと証言しており、県として不正の目的があったと公に認めていない。また、複数の参考人は、「専ら」公益を図る目的の通報と認められる必要はなく、交渉を有利に進めようとする目的や事業者に対する反感などの目的が併存しているというだけでは、「不正の目的」であるとは言えず、不正目的の認定は慎重に行う必要があるとしている。
「通報対象事実」については、少なくとも阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫からのキックバックについて背任罪の可能性があり、通報対象事実が含まれている。なお、刑法の背任行為として刑事告発され県警に受理されている。
以上のことからすると、今回の調査では、元県民局長が齋藤県政に不満を持っていた事情はうかがえるものの、元県民局長は今回の文書作成については後輩職員のためを思い行ったと主張しており、人事課調査による判断と同様に、不正な目的であったと断言できる事情はないと考える。
よって、元県民局長の文書は公益通報者保護法上の外部公益通報に当たる可能性が高い。
(2)体制整備義務違反
公益通報者保護制度を所管する消費者庁は、公益通報者保護法に基づく指針第4の2(1)不利益な取扱いの防止に関する措置及び(2)範囲外共有等の防止に関する措置は内部通報した場合に限定せずに、処分等の権限を有する行政機関やその他外部への通報が公益通報となる場合も公益通報者を保護する体制の整備が求められるとしている。他方、今回の文書の場合には、通報の探索が例外的に許容されるのではないかという参考人の意見もあった。しかし、上記のとおり、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関としては、公益通報者保護法に基づく指針を原則通り遵守すべきと考えられる。
文書内容の事実確認よりも通報者の特定を優先した調査や3月 27 日の記者会見での文書作成者を公にしたこと、元県民局長のプライバシー情報の漏洩などは、公益通報者保護法に基づく指針第4の2(2)「範囲外共有等の防止に関する措置」を怠った対応であり、現在も違法状態が継続している可能性がある。
2 行政として取るべき対応
(1)初動対応
3月 21 日の協議時点で齋藤知事及び参加者は当該文書を誹謗中傷の文書であると認識しており、公益通報の議論はなかったという証言があることから、初動対応において公益通報に関する認識はなかったと考えられる。そのため、3月 22 日には作成者の特定のために元県民局長らの公用メールの調査等に着手し、3月 25 日に作成者を元県民局長と特定、3月 27 日には知事が記者会見で本人が認めていなかったにもかかわらず、事実無根だと認めているような発言のほかにも「公務員失格」と通報者を侮辱するような発言をしている。
しかし、当該文書の内容は、本委員会でも一定の事実認定ができており、全くの事実無根とは言えないため、齋藤知事らは公益通報に該当しうるかもしれないという前提に立ち、作成者の特定を行う前に、まずは当該文書の内容を調査すべきであった。
また、3月 27 日の記者会見で県民局長の職を解き、通報者を公表したことは、告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応であった。同日に元県民局長から告発文にある内容を精査してから対応して欲しいと片山氏に要請があったが、この時点から内部公益通報としての手続が必要であった。
さらに言えば、齋藤知事らは当事者である自分たちだけで当該文書が公益通報に該当するか否かを判断するべきではなかった。法令を遵守することは当然のことながら、それが、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関がとる立場であると言える。
また、参考人によると、公益通報事案については、受付、調査、是正措置等の対応全てを通じ、不利益取扱、範囲外共有、通報者探索が禁止され、これに違反すると体制整備義務違反状態となるため、調査結果が判明する前にこれらの扱いをすることは原則として許されないし、調査結果が判明し、たとえ通報者の指摘する事実関係が認められなかったとしても、これらの扱いをすることが許されない場合があり得るとしている。加えて、告発の対象となった権力者が通報者探しを指示する場合、あるいはそれを承認する場合、その者の責任も厳しく問われるとの参考人意見もある。
さらに、本年2月 18 日の衆議院総務委員会で政府参考人は、「法定指針の1号通報の対応体制において、事実に関係する者の公益通報対応業務に関与させない措置を求めているが、一般論として外部から不正行為について指摘された事業者は、自らが行う調査、是正に当たり、事実に関係する者を関与させないことなど、適切な対応が取ることが望ましい」と答弁している。
初動対応時の調査は、当事者である齋藤知事の指示の下、同じく当事者である片山氏が中心となって行っているが、調査は当事者が関与せずに行うべきであったと考えられる。通常であれば、このような案件の調査は人事課や各部総務課が調査を実施することになるが、利害関係者中心で調査を行うのは不適切である。これは内部公益通報時だけでなく、外部への公益通報の際にも同様である。今回のような知事及び県幹部が当事者である場合は、告発文に記載のあった当事者が調査に関わることのないよう利益相反を排除し、独立性を担保するためにも県以外の第三者に調査を委ねるべきであった。そのことが調査の過程及び結果の客観性・公平性・信頼性を高めることになる。
県当局は後日、第三者委員会を設置することとしたが、本来は元県民局長の処分前に設置し、もし処分をするのであればその調査結果に基づいて処分を行うべきだったと考えられる。
加えて、参考人によると、真実相当性の要件は、通報者の通報時点における状況から判断することや通報者の供述内容は、調査主体への信頼感により影響を受けるため誰が調査するのかが重要としている。元県民局長は、県当局の調査に対し、文書の内容を誰から聞いたかについて、単なるうわさ話と話しているが、元県民局長の立場からすれば、文書に記載されている当事者が調査に関わっている限り、情報提供者を守るために真実を話せなかったと考えられる。
以上のように、県の一連の文書問題に対する初動対応は、県民の不信感を招く不当なものであったと考える。
(2)調査方法の問題点
当該文書の作成者の特定はすべきではなかったという判断である。その上で、作成者特定に当たっての今回の調査方法には、今後の県政の信頼回復のために考慮しておく必要がある幾つかの問題点があったと考える。
公用メールの調査について、公用パソコンは県から貸与されたものであり、業務以外の使用は禁じられているものの、そのメール内容の調査はその必要性や方法について慎重に検討を行った上で行うべきである。地裁レベルだが判例でも社内メールの調査が無条件に認められているわけではない。当委員会の調査では、メール調査に当たってのルール及び実施の記録がないことが判明している。これではメール調査を恣意的に実施でき、適正な調査であったかの事後の検証もできないと言わざるを得ない。
今回の調査の中で行われた私用スマートフォンの内容確認は任意だったが、作成に関与したと疑われた人物の私物スマートフォンのLINEのやり取りを確認したことが証言と資料から確認されている。これは職員の人権への配慮を欠いた調査であり、しかも、その人物は結果的に当該文書作成に関わっていなかった。このような調査を人事当局が行う可能性があるということは、職員の萎縮、ひいては県政運営への信頼低下を招くものと言わざるを得ない。
(3)齋藤知事の対応
3月 27 日の記者会見では、齋藤知事は調査の対象者を特定したり、処分を予告すること、さらには「うそ八百」「元県民局長は認めている」と発言した。
片山氏や人事当局は、「これから調査する」という認識で齋藤知事とも話をしたつもりであったため、その発言に驚いた。この時点においては当該文書の存在は広く知られておらず、実害も生じておらず、人事当局が予定していたとおりの人事異動の発表にとどめておくべきであった。今回の文書問題が大きく取り上げられることになったのは、この記者会見によることが大きいことを踏まえると、このような部下の進言や意見に真摯に耳を傾ける姿勢が必要であったと考えられる。
なお、そのことは第三者による調査の進言、公益通報の結果を待ってから処分を行うことの進言に対する態度についても言える。
(4)公益通報者保護法に対する齋藤知事や幹部の関わり方について
公益通報者保護法が目指すのは、徹底して不正行為を告発する人々を守り、社会の正義と透明性を維持することが目的であり、兵庫県としては立法趣旨を踏まえ、まずは公益通報に該当する可能性がないかを慎重に検討すべきであったが、初動対応時の齋藤知事や幹部は公益通報の認識がなかったと証言しており、公の立場として大きく思慮に欠ける点があったと言える。
また、齋藤知事は証人尋問や記者会見で何度も法的に問題ないことを主張しているが、行政機関は法律に違反しなければいいのではなく、法律の趣旨を尊重したうえで遵守する姿勢を示すことが重要である。
(5)文書問題の対応について
この度の兵庫県の対応が全国から注目される中、組織の長や幹部の不正を告発すると、権力者が当事者にも関わらず自ら告発内容を否定し、更に通報者を探して公表し、懲戒等の不利益処分等で通報者が潰される事例として受け止められかねない状況にある。そのことが公益通報の抑制につながらないか危惧される。公益通報者保護法に違反しているかどうか見解が分かれるとはいえ、「組織の長その他幹部からの独立性の確保」や「利益相反の排除」といった原則にのっとった対応が必要であったと考える。
また、元県民局長の処分には、退職保留決裁が終わる前に、退職保留が本人に通知されたことも問題がある。
(6)情報漏洩
県の個人情報保護管理の総括保護管理者である井ノ本氏は証言を拒否しているが、同氏が元県民局長のプライバシー情報を複数の議員に見せていることが聞き取り調査によって明らかになっている。当該文書の価値を貶めようとする発言を行っていた証言も得られており、「告発者潰し」があったと言われかねない状況がうかがえる。この行為は地方公務員法の守秘義務違反、さらには県における個人情報管理の問題である。告発者である元県民局長をおとしめることによって、当該文書の信頼性を毀損しようとしたこともうかがわれ、地方公務員法違反を否定できる要素は皆無に等しいと考える。この漏洩問題はその背景や関係者等を明らかにしなければならない問題と考える。
(7)まとめ
以上のように、一連の県の文書問題への対応には看過できない問題があったと言わざるを得ない。
また、井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩問題は、公益通報者保護法に反する問題にとどまらず、県組織としてのガバナンス、マネジメントが適正に行われているのかという疑問を抱く。この問題への対応に関しては、元県民局長への処分と比較し、あまりにも大きく異なっている。
2 提言
法令を遵守するだけでなく、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関が、公益通報の認識を欠き、また、後になって公益通報に該当しないから問題ないと主張して通報したことを非違行為として認定し懲戒処分にまで至ったことは大変遺憾であり、県当局は責任の重さを痛感すべきである。
今後は、県行政・県組織の不正行為や違法行為に関する告発に対しては、常に公益通報の可能性を念頭に対応することが求められ、知事を含めた幹部が公益通報者保護法に対する理解を深める機会を定期的に設けることが不可欠である。体制整備に関しては、指針第4に掲げる内部公益通報対応体制の整備は当然のことながら、外部公益通報に対応できる体制づくりを進める必要がある。
あわせて、告発の調査に当事者は関与しないこと、通報者探索及び範囲外共有等は行わないことの明確化が必要である。今後、受付段階、調査段階、是正措置等において、告発者の不利益処分が行われていないか、第三者による常設の検証機関の設置が必要である。知事、副知事をはじめ組織の長は、就任に当たり、公益通報者保護法及び個人情報保護法に関する研修を受講するなどして、法の趣旨や責務を改めて認識することが重要である。
なお、有益な公益通報が守られるよう、公益通報に当たっては個人のプライバシーへの配慮や公益通報の濫用を防ぐことなど、職員にも公益通報者保護法の理解を深めることが重要である。
また、不正調査等で必要な場合も想定されるため、メール調査そのものを否定はしないが、その判断基準の整備及び調査実施記録の作成・保存を確実に行うべきである。そのことによって、今回のような疑念を持たれるメール調査を防ぐとともに、事後的な検証が可能となる。職員の私用スマートフォン等の調査についても、今後一切行わないよう県当局として宣言する必要がある。
さらに、綱紀委員会の運営は当事者が関わることのないよう、一定のルールを設けるべきである。
井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩については、現在、第三者(弁護士)による調査が進められているが、調査結果は速やかに公表するとともに、県として刑事告発も含めた厳正な対応を早急に求める。
なお、一連の県の対応は、公益通報者保護法に違反している可能性が高いと考えられることから、県自らの対応として公益通報者保護法の法定指針で定める「不利益な取扱い、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。」や「不利益な取扱い、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分、その他適切な措置をとる。」という規定に基づいた措置を行う必要があると考える。
最後に、齋藤知事は周囲の進言や意見に真摯に耳を傾ける姿勢を持つ必要があり、県職員が上層部へ必要な進言を行うことを躊躇しない組織風土を醸成するとともに、兵庫県のリーダーとして共感やいたわりの姿勢を持ち、透明性のある兵庫県政の確立に努めるべきである。
Ⅴ 総括
調査結果のとおり、調査項目のうち、「令和3年の知事選挙における県職員の事前選挙活動等について」、「次回知事選挙に向けた投票依頼について」は文書の真偽について事実確認ができなかったが、以下の項目については一定の事実が確認された。
「五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について」は、片山氏から副理事長解任を伝えられた五百旗頭理事長が憤りを覚えていたことが認められる。よって、公社や外郭団体の再編や人員削減において、憶測や不信感が生まれないよう、対象団体の状況を公平公正に判断し、当事者をはじめ関係者に十分な理解を得る努力を怠ることのないように求める。
「知事が贈答品を受け取っていることについて」は、PR等でなく齋藤知事個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない。
昨年 12 月 11 日発表の「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」において、一定の措置が講じられているが、受け取らない一定の基準を客観的に示すことや接待対応についてのルールの明確化も図るべきである。
「知事の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について」は、片山氏の依頼により経済界に影響力のある県信用保証協会理事長が疑念を抱かれる行動をとっていたことは否めず、一般職だけでなく役員も含めた政治活動や選挙活動に関わる倫理規程等を定めることが必要である。
「阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて」は、資金調達が難航し、パレード後も継続して資金調達をする特異な状況に追い込まれていたことが認められるため、県が利害関係のある企業団体に寄附金や協賛金を依頼するにあたっては、行政運営に不信感を抱かれることのないよう細心の注意を払うことを求める。また、刑事告発されている背任容疑について、県関係者が起訴され有罪となる事態となった場合は、齋藤知事自らの管理・監督責任を重く受け止め対処することを求める。
「知事のパワーハラスメントについて」は、「パワハラを受けた」との証言は無かったものの、パワハラ防止指針が定めるパワハラの定義である「①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの」に該当する可能性があり、パワハラ行為と言っても過言ではない言動があった。前述の「県民の信頼確保に向けた改善策の実施」において、一定の措置が講じられているが、知事、副知事などの特別職を含む管理職等へのアンガーマネジメント研修の実施など、さらに踏み込んだ対策に取り組むことを求める。
公益通報者保護については、元県民局長の文書は公益通報者保護法上の外部公益通報に当たる可能性が高く、県の初動は、文書内容の調査をせずに通報者の特定を行うなど、不適切な対応に終始しており、現在も体制整備義務違反の疑いが指摘されている。初動対応のほかにも、調査方法や3月 27 日の記者会見、公益通報者保護法に対する関わり方についても問題なしとはいえない。
この度の兵庫県の対応は、組織の長や幹部の不正を告発すると、告発された当事者自らがその内容を否定し、更に通報者を探して公表されたうえ、懲戒等の不利益処分等により通報者が潰される事例として受け止められかねない状況にある。
今後は、知事を含めた幹部職員が公益通報者保護法に対する理解を深めるとともに、組織内の不正行為や違法行為に関する告発に対しては、常に公益通報の可能性を念頭に対応することが不可欠である。さらに、外部公益通報に対応できる体制づくりを進めるとともに、告発内容の調査に当事者は関与しないこと、通報者探索及び範囲外共有等は行わないことの明確化が必要である。
井ノ本氏による元県民局長のプライバシー情報の漏洩については、告発者潰しを企図していたと言われかねない状況がうかがえる。弁護士による調査の結果を速やかに公表するとともに、県として刑事告発も含め、適切かつ早急な対応を求める。
知事は、3月 27 日の記者会見で元県民局長の文書を「事実無根」、「うそ八百」と評したが、約9ヵ月に及ぶ本委員会の調査により、文書には一定の事実が含まれていたことが認められた。
今回の文書問題を振り返ると、文書に記載の当事者である知事や幹部職員による初動対応や内部公益通報後の第三者機関の検討、元県民局長の処分過程など全体を通して、客観性、公平性を欠いており、法令の趣旨を尊重して社会に規範を示すべき行政機関の行うべき対応としては大きな問題があったと断ぜざるを得ない。
最後に、齋藤知事におかれては、本報告書の期するところを重く受け止め、兵庫県のリーダーとして厳正に身を処していかれることを期待する。また、文書問題に端を発する様々な疑惑によって引き起こされた兵庫県の混乱と分断は、いま、憂うべき状態にあることを真摯に受け止めなければならない。これを脱却し、一刻も早く解消するために、県民に対して過不足のない説明責任を果たすとともに、先導的かつ雄県の名にふさわしい進取の気質に富んだ兵庫県政を取り戻すことを切に願うものである。
Ⅵ 提出を求めた資料一覧
番号 | 提出を求めた選挙人 その他関係人 | 提出を求めた資料 | 提出日 |
---|---|---|---|
1 | 元県民局長 | 令和6年3月 12 日付文書「齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」 | 7/7 |
2 | 元県民局長 | 令和6年4月1日付報道機関あて文書 | 7/7 |
3 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 文書問題に関する聴取資料(元県民局長のプライバシー情報は除く) | 7/18 |
4 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 「令和6年1月県民局長メッセージ(西播磨県民局長)」(更新日 2024 年1月4日) 「令和6年2月県民局長メッセージ(西播磨県民局長)」(更新日 2024 年2月1日) 「令和6年3月県民局長メッセージ(西播磨県民局長)」(更新日 2024 年3月1日) | 7/4 |
5 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 齋藤知事就任時からの知事公用車運行記録一式 | 8/2 |
6 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神・オリックス優勝パレードにかかる協賛金に関する資料(協賛各社ごとの金額別一覧(開催時点分、最終分別、大阪府及び兵庫県担当別内訳) ※兵庫県担当分については、協賛金を依頼した部局、責任者、依頼訪問日、電話依頼日が分かるもの | 8/2 |
7 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 当時の●●●●●●●●●のパレード実施決定以降の業務担当分野、業務記録、勤怠(休職にかかるものを含む)資料 | 8/2 |
8 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和6年5月2日に開催された綱紀委員会にかかる出席者、議事録、録音データ | 8/2 |
9 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年8月8日の齋藤知事の視察の記録、業務日誌などが分かる資料 | 8/2 |
10 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年7月の●●●●●●●●●●●●●と兵庫県の連携協定締結時の齋藤知事の記録、業務日誌などが分かる資料 | 8/2 |
11 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年度 12 月補正予算の「中小企業にお ける経営改善・成長力強化支援」にかかる 4億円の金融機関への補助額執行の内訳が 分かる資料及び令和4年度の同様資料 | 8/2 |
12 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神タイガース、オリックスバッファローズ優勝記念パレードにかかる信用金庫からの寄附について | 8/2 |
13 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神タイガース、オリックスバッファローズ優勝パレード実施のための寄附企業一覧 | 8/2 |
14 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 齋藤知事個人が受け取った物品一覧表 ※齋藤知事自身が作成したもの | 不存在 |
15 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 齋藤知事が兵庫県として受け取った物品一 覧表 ※秘書課が作成したもので可 | 8/2 |
16 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 処分規定、過去の懲戒処分状況(5年分) | 8/2 |
17 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和6年7月5日の元県民局長と人事当局との接触記録(誰が、元県民局長とどのような内容をやりとりしたか分かる資料) | 8/2 |
18 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●●●●●●●が●●●●から受け取ったコーヒーメーカーやトースター等について、齋藤知事が受け取るのはやめておこうと秘書課に返却を指示したとされる日時等が分かる資料 | 8/16 |
19 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部 洋平 | 令和4年度および令和5年度の知事と各部長との業務用チャットの内容と送付した時間が分かる資料 | 11/14 |
20 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年度東播磨地域づくり懇話会(令和5年 11 月 28 日開催)に係る知事公用車の考古博物館への到着予定時間と、懇話会終了後の出発予定時間などが分かるタイムスケジュール表 | 8/16 |
21 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年度東播磨地域づくり懇話会(令和5年 11 月 28 日開催)に係る知事公用車の考古博物館への実際の到着時間と到着場所及び出発時間と出発場所 | 8/16 |
22 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和5年 12 月補正予算で計上された伴走支援を受けた金融機関への補助の起案文書及び副知事の指示で4億円に増額された内容、理由、指示内容、日付、決裁権者等がわかる文書(決裁文書、査定資料(注)等) (注)査定資料は各段階(財政課長、財務部長、副知事、知事)のもの。指示事項がわかる資料を添付すること | 8/16 |
23 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神・オリックス優勝パレードにかかる金融機関からの寄附金額、寄附日がわかる資料 | 8/16 |
24 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 人事課が調査した元県民局長のプライバシー情報の管理簿等、管理方法、管理状況がわかる資料(●●●●等の持ち出し状況⦅日付など⦆がわかる資料) | 不存在 |
25 | ●●●●● ●●●●● ●●●●● | 令和5年8月に●●●●●から●●●●●●に対して提供されたコーヒーメーカー及びトースターの配送記録(電子記録を含む) | 8/16 |
26 | ●●●●● ●●●●● ●●●●● | 令和5年8月に●●●●●から●●●●●●に対して提供されたコーヒーメーカー及びトースターの品番、製造年月日、識別番号がわかるもの | 8/16 |
27 | ●●●●● ●●●●● ●●●●● | 令和6年3月に●●●●●●から●●●●●に対して返却があったコーヒーメーカー及びトースターの品番、製造年月日、識別番号がわかるもの | 8/16 |
28 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 2024 年5月7日、齋藤知事が●●●を処分した際の意思決定文書資料 | 9/2 |
29 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 2024 年4月 19 日 15 時から 17 時までの2号館7階及び 10 階、3号館3階、4階及び5階の防犯カメラ映像資料 | 不存在 |
30 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 2024 年5月2日に開催された綱紀委員会において答弁した県の特別弁護士以外の弁護士に関する下記資料 ・当該弁護士のプロフィール資料 ・当該弁護士からの意見内容がわかる資料 ・当該弁護士に相談料等を支払っている場合はその支払書類一式 | 不存在 |
31 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神・オリックス優勝パレード開催に関する兵庫県と大阪府との協議(オンライン協議含む)に関する資料 (出席者、会議資料、会議録等) | 9/27 |
32 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神・オリックス優勝パレードにかかる事業の企画運営業務委託者である●●●●●●●との協議内容がわかる議事録、メモなど記録すべて(オンライン会議含む) | 9/27 |
33 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 人事課が元県民局長作成の文書の内部調査に当たって作成した下記の3文書 ・調査実施結果(R6.3.25) ※元県民局長、●●●●、●●●●●●3名に係るもの ・告発文書配布先への確認状況 ・庁内調査手順(R6.3.25) | 9/2 |
34 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 秘書課が確認した知事が自宅へ持ち帰った贈答品の一覧 | 不存在 |
35 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 2024 年3月 27 日に●●●●●●と●●●●●●が●●●●を訪問し、コーヒーメーカー等を返却した際の公用車運行記録 | 9/9 |
36 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 知事の出張時に、個室、ハンガー、姿見など秘書課が相手先に聞き取りなどで照会するチェックリスト | 不存在 |
37 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 阪神・オリックス優勝パレードに関する企業への協賛金要請文すべて | 9/9 |
38 | ●●●●●●●●●●● | 2023 年7月 30 日実施の齋藤知事政治資金パーティーに関し、片山副知事が行った、選挙資金パーティー券販売日、販売先名称(販売先に県職員が含まれていれば、その氏名、所属も含む)、販売枚数、販売額が分かる資料 | 不存在 |
39 | ●●●●●●●●●●● | 2022 年 12 月 12 日にANAクラウンプラザホテルで開催された政治資金パーティー(●●●●●●●●●●●●●●●●●●)に関し、片山副知事が行った、選挙資金パーティー券販売日、販売先名称(販売先に県職員が含まれていれば、その氏名、所属も含む)、販売枚数、販売額が分かる資料 | 不存在 |
40 | ●●●●●●●●●●● | 「●●●●●●●●●●●」の規約、ニュース、役員名簿 | 9/9 |
41 | ●●●●●●●●●●● | 令和5年7月 30 日の齋藤知事の政治資金パーティー券の原本 | 不存在 |
42 | ●●●●●●●●● | 「●●●●●●●●●」の役員名簿 | 不存在 |
43 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 令和6年3月 25 日に実施された元県民局長のパソコン押収の際の音声データ | 9/2 |
44 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●●●●●●●●●●●●との包括連携協定に係る協定書及び決裁資料 | 9/17 |
45 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●●●●●●●●との包括連携協定に係る協定書及び決裁資料 | 9/17 |
46 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 視察先やカウンターパートの企業等を選定する際の判断材料とするためのリスト(リストが存在する部局全て) | 9/17 |
47 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 元県民局長に対する停職3ヵ月の懲戒処分を決定する以前の懲戒処分案決裁文書等 (同懲戒処分に係る決裁は電子決裁履歴上再提出となっているため、修正前の文書) | 不存在 |
48 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月 27 日の知事の記者会見に際して、人事課が作成した想定問答 | 9/2 |
49 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月 27 日の知事の記者会見に際して「県民局長が異動になった理由」について知事が作成し、人事当局に渡されたメモ | 9/17 |
50 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月 25、26 日に告発者と●●●●が電話などでやりとりした会話内容が分かる音声データまたは記録資料 | 9/17 |
51 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●●●(●●●●●●)を調査(私用スマホ(SNS等)を含む)した際の音声データ | 9/17 |
52 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 公益通報を行った元県民局長の処分を見送るよう●●や●●●●に進言した際の説明資料 | 9/17 |
53 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 元県民局長の告発文書が公益通報者保護法による保護対象に当たらないと特別弁護士(●●弁護士)が判断に使用した資料 | 9/17 |
54 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 告発文書について相談料を支払い相談した●●弁護士からの回答成果物一式 | 9/17 |
55 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 5月2日の綱紀委員会に提出された資料 | 9/24 |
56 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月 27 日の知事の会見前の人事課の会見内容、議事録 | 9/24 |
57 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 知事が令和4年 10 月 14 日に●●●●●●●を視察したことについて人事課が調査した結果が分かる資料 | 9/24 |
58 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月に人事当局が第三者による委員会等を設置して調査を行うことを検討したことに関する資料 | 9/24 |
59 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●●●●●●の配偶者の人事異動にかかる検討資料 | 9/24 |
60 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●弁護士が陪席した5月7日の懲戒処分会見の議事録 | 9/24 |
61 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 3月 20 日以降の人事課から●●弁護士への相談内容が分かる資料 | 9/24 |
62 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | ●●弁護士へFAXで懲戒処分及び公益通報にかかる法的見解を確認した資料 | 9/24 |
63 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 公益通報者保護法違反とする奥山教授や山口弁護士の指摘、法解釈に対する県としての反論文書(9月6日伊藤委員の質問で知事が文書で提出するとした) | 10/24 |
64 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 消費者庁に問合せた兵庫県の文書問題の対応が公益通報者保護法上、どのような問題があるのかについての見解について | 10/24 |
65 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 「中小企業における経営改善・成長力強化支援」第1期・第2期時の各金融機関への補助金一覧 | 10/21 |
66 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 2021 年4月当時の●●●●●●●●●●●●の勤怠管理、年休取得状況がわかるもの(2021 年4月~●●●●●●●異動までの分) | 10/16 |
67 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | ●●●●●●●●●●●●●が、次長級に 昇任した理由がわかる一切の文書 | 10/24 |
68 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 課長級在任が2年以内(※未満ではない)で 次長級に昇任した事例(直近 20 年以内) | 10/21 |
69 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 齋藤元知事の選挙カーの運行予定がわかる文書(2021 年7月 15 日分) | 10/29 |
70 | 兵庫県選挙管理委員会 委員長 永田秀一 | 「●●●●●●●●●●●」の 2023 年度の政治資金収支報告書 | 10/22 |
71 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 令和6年3月~5月の齋藤元知事と下記4名とのチャットデータ ・片山元副知事 ・●●●●● ・●●●●●●●● ・●●●●●●●● | 11/14 |
72 | 前兵庫県知事齋藤元彦 若しくは 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | ●●●●●●●が令和3年6月に作成した「さいとう元彦の約束政策集 pdf」ファイル(PDFのデータファイルで提出すること) | 11/11 |
73 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 令和5年 10 月 11 日の政策会議で取り上げられ、全庁的にパレード寄附金集めをすることが決まったが、その時に配布された資料 | 11/12 |
74 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 令和5年 10 月 19 日に県民生活部から全庁へのパレード寄附金集めの協力依頼文書 | 11/12 |
75 | ●●●●●●●●●●●● ●● ●● | ●●●●●●倫理規定、職員倫理規定、それに類するもの | 11/17 |
76 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | ●●●●●・●●●●●●●●・●●●●●●●●・●●●●●●●●が令和3年の知事選挙について触れた公用メールの全て(令和2年8月~令和3年8月末までの分)選挙公約・演説会等についてのものを含む選挙に関する全て ※「選挙」・「候補」・「公約」・「演説」・「齋藤」・「知事選」・「知事」・「議員」といったワードで検索すること | 11/11 |
77 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | ●●●●●が令和3年7月に中播磨県民センター7級以上(当時)の職員と送受信した公用メール | 11/11 |
78 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | ●●●●●●●●●●●●●●がパレード業務に関連して大阪府等の外部や部内とやりとりを行った公用メールの全て | 11/12 |
79 | 兵庫県知事職務代理者 副知事 服部洋平 | 令和6年2月 29 日に片山元副知事が五百旗頭元理事長に渡した「ひょうご震災記念21 世紀研究機構の見直し」に関する資料 | 11/6 |
80 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 元県民局長の公用PCに入っていた資料のうち、不正な目的に関する資料(プライバシー情報は除く) | 12/16 |
81 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 元県民局長に対する聴取のうち、片山元副知事が行った初回の聴取以外の未提出の全ての聴取内容の記録(プライバシー情報は除く) | 12/16 |
82 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 4月1日及び4月4日に人事課が特別弁護士に相談した際の音声データ及び4月4日に人事課が特別弁護士に質問した内容がわかる文書記録資料 | 12/16 |
83 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 2024 年4月に齋藤知事に対し、公益通報者保護法に関して説明のために渡した資料 | 12/16 |
84 | 兵庫県知事 齋藤元彦 | 人事課が特別弁護士に不正な目的の有無について確認した内容がわかる文書記録資料 | 12/16 |