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2025/5/27に、元総務部長によるい秘密情報の漏えい疑惑を調査していた第三者委員会が調査結果を公表しました。(参考ページ:2025/5/27 秘密漏えいに関する第三者委員会の調査報告書)
これを受けて、片山元副知事が代理人を通じてマスコミ宛に、以下のような内容の文書を発出しました。
- 元総務部長の行為は、正当な業務行為である
- 元総務部長の行為の目的について、検証が不十分
- 知事の指示は、個別具体的なものではなかったと受け止めている
- 元総務部長が行っている不服申し立て、執行停止は当然
- 他の漏えい情報に基づいて一方的な報道をしているマスコミは遺憾
当ページに、この文書の全文文字起こしを掲載します。
6/3 片山元副知事文書の内容(全文文字起こし)
令和7年6月3日
報道機関各位
ご連絡
冠省 益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
令和7年5月27日に公表されました、秘密漏えい疑いに関する第三者調査委員会の調査報告書等に関しまして、元兵庫県副知事である片山安孝氏より、別紙のとおりコメントを預かりましたので、お送りいたします。
草々
1 委員会の報告について
(1) 元総務部長の行為は適正であり、秘密の漏えいに当たらないことについて
委員会は、元総務部長は3人の県議に対し「秘密を漏えいした」と認定されていますが、これは必要かつ相当な範囲の議会根回しであり、総務部長の適正な業務であることから、見解を異にするものです。
委員会は、「知事及び元副知事の前記指示自体の違法性が問題となることはあっても、元総務部長の漏えい行為の違法性阻却事由には該当しないと解するのが相当であるから、当該行為が正当業務行為となることはなく、元総務部長がそのような漏えい行為をするに至った背景事情にとどまる」と認定していますが、このことは知事・副知事の指示に限定した検討であり、議会根回しとしての情報共有の必要性、相当性については何ら検討されていません。
議会根回しは、県政運営の円滑化のため、県議会の一定の役職にある県議に対して、その県議も公務の内にあるとの考えのもと、必要かつ相当な範囲で情報を共有するもので、当時告発文書問題が過熱する様相を呈していたことから、告発文書の内容や背景事情等について、一定の役職にある県議と必要な範囲で情報共有しておくことは相当であったと考えます。
一方で、委員会も、元総務部長の行為について、「口頭でその概要を抽象的表現で述べるとともに、紙に打ち出された資料の一部を提示するにとどまっており、これを実際に公布するなどのことはしていないこと」に留意するよう注意喚起をしており、委員会の認定した元総務部長の行為が、一部のメディアの報道によって印象付けられているような違法性の高い悪質な行為とは言えないことを、あえて示唆しているのではとも考えられます。一定の役職にある県議に抽象的に告げることは「広く一般に知らしめる行為」にはなりませんし、県議には倫理上の守秘義務があると考えられることから、県議から不特定多数に伝達されるおそれは無いはずであり、漏えいには当たらないと考えています。
さらに、「漏えい」という以上、「広く一般に知らしめる行為又は知らしめるおそれがある行為」であったと言えるか否かについての検証、評価が必要ですが、委員会の認定は、「元総務部長が3名の県議に漏洩した」という内容に限定され、その先の情報の伝播について何ら解明されていません。このことは非常に疑問に思っています。
なお、元県民局長の今回の告発行為は偽計業務妨害、名誉棄損、虚偽告訴の可能性があり、地方公務員法に違反して勤務時間中に作成した私的文書を公用パソコン内に保管していたことから、そもそも守秘義務の対象とならないのではないかと思っています。
(2) 元総務部長の目的について
委員会は、元総務部長の目的について、「元県民局長の私的情報を暴露することにより、その人格ないし人間性に疑問を抱かせ、ひいては告発文書の信用性を弾劾する」と3名の県議が捉えていることを評価されていますが、これは3名の県議の意見であり、十分な検証が行われていないと考えています。県議のうちの1名は、昨年11月の知事選挙で斎藤知事の対立候補を強力に支援しており、何らかの思惑で説明されているものと推測されます。
なお、県民局長の告発文に記載されている内容は、後に別の第三者委員会の調査でも明らかにされたとおりほぼすべてが事実と異なっており、このことからして元総務部長にはこのような目的のもと告発者を貶める必要性は認められません。
(3) 知事の指示について
委員会の報告にあるとおり、私は別の職員から知事の指示があったと聞きましたが、知事は、個別具体の指示をしたのではなく、議会根回しを包括的に了解したものと受け止めていました。
2 元総務部長に対する懲戒処分について
(1) 元総務部長の行為は何ら問題がなく、懲戒処分の対象とならないと判断しているので、元総務部長が行っている不服申し立て、執行停止は当然と考えています。
(2) 元総務部長の議会根回しは正当行為であること、一定の役職にある県議3名にだけに十分留意して説明していること、告発文の意図が不正な目的であること、公用パソコン内文書は地方公務員法に違反して作成されていることに対する県人事当局の評価が十分にされていない可能性があります。
(3) 元総務部長の行為とは別に、県が告発した漏えい案件があるにも関わらず、元総務部長の件のみを取り上げて先に懲戒処分を行うのはおかしいと考えています。
元県民局長の事情聴取音声が漏えいしたことについては、その保管場所が人事課であり、県職員が地方公務員法に違反して漏えいしたことが強く推測されますが、そのような違法行為による情報を使って一方的な立場から報道するメディアも見受けられるのは遺憾です。
令和7年6月3日 片山安孝(兵庫県元副知事)