渡瀬県民局長への懲戒処分の概要
2024年5月7日、告発文書を作成した渡瀬康英元県民局長が、停職3カ月の懲戒処分を受けた。(関連報道:5/7朝日新聞)
処分理由について、マスコミ報道ではあまりフィーチャーされないので、「告発文書を作成したから処分された」と多くの人が認識しているようだ。
それも理由の一つであるが、処分理由は4つある。告発文書の作成・配布は、4つある処分理由の1つでしかない。残りの3つについても、公務員として許されない悪質な行為だと筆者は考える。
なお、同じ日に、原田剛治産業労働部長も訓告処分を受けている。これは、コーヒーメーカーの返却をうっかり失念していたことによるものだ。
渡瀬元県民局長の4つの懲戒処分理由
渡瀬元県民局長が処分された理由は、以下の通り。
- 2024年3月の、誹謗中書文書の作成・配布
- 人事課時代の、女性職員の人事データの不正取得・持出
- 2011年から、14年間にわたる長時間の職務専念義務違反
- 2022年の、原田職員局長へのハラスメント文書の送付
公式文書には、以下の通り処分理由が明記されている。
令和6年3月、知事や一部の幹部職員を誹謗中傷する文書を作成・配布し、多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損なわせた。
平成23年~28年にかけて、人事課管理職時に、業務の目的外で人事データ専用端末を使用して特定の職員(1名分)の顔写真データを2回表示・撮影し、又は顔写真データを2回表示・撮影し、又は顔写真データを1回コピーして、そのデータを公用PCに保存し、人事異動の際には、そのデータを自宅に持ち帰った上で異動先の公用PCに保存することによって、業務上の端末を不正に利用するとともに、個人情報を不正に取得し持ち出した。
平成23年から14年間にわたって、勤務時間中に計200時間程度、多い日で1日3時間、公用PCを使用して業務と関係ない私的な文書を多数作成し、職務専念義務等に違反した。
令和4年5月、次長級職員に対して人格を否定する文書を匿名で送付するハラスメント行為を行い、当該職員に著しい精神的な苦痛を与えた。
この文章だけ読んでも具体的なことがわからないと思うので、この後詳しく解説する。

懲戒処分理由について詳細を解説
渡瀬元県民局長の4つの懲戒処分理由について、詳しく解説する。
2024年3月の、誹謗中書文書の作成・配布
令和6年3月、知事や一部の幹部職員を誹謗中傷する文書を作成・配布し、多方面に流出させたことで、県政への信用を著しく損なわせた。
一連の兵庫県庁告発文書問題の発端となった、「7つの疑惑」が書かれた文書を作成し、マスコミ・警察・県会議員・国会議員の合計10箇所に送付したこと。
この文書についての詳細は、以下のページで解説している。
人事課時代の、女性職員の人事データの不正取得・持出
平成23年~28年にかけて、人事課管理職時に、業務の目的外で人事データ専用端末を使用して特定の職員(1名分)の顔写真データを2回表示・撮影し、又は顔写真データを2回表示・撮影し、又は顔写真データを1回コピーして、そのデータを公用PCに保存し、人事異動の際には、そのデータを自宅に持ち帰った上で異動先の公用PCに保存することによって、業務上の端末を不正に利用するとともに、個人情報を不正に取得し持ち出した。
渡瀬県民局長が人事課に所属していた2011~2016年の間に、人事専用端末を業務以外の目的で利用して、女性職員の写真を自分のカメラ(恐らく携帯電話)で撮影し、公用PCに保存した。この女性職員は、渡瀬県民局長と不倫関係にあったと県庁内やネットで噂されている女性である。
この6年間の間に、人事データの切り替えがあったようだが、新旧両方とも写真が撮影されていた。処分理由の「2回表示・撮影」は、新旧2枚の写真が保存されていたことに由来しているようだ。
また、「自宅に持ち帰った上で異動先の公用PCに保存」とは、西播磨県民局への転勤の際に、そのデータを私物USBメモリ経由で持ち込んだことを指していると思われる。
2024年3月25日の公用PC回収により発覚した。
2011年から、14年間にわたる長時間の職務専念義務違反
平成23年から14年間にわたって、勤務時間中に計200時間程度、多い日で1日3時間、公用PCを使用して業務と関係ない私的な文書を多数作成し、職務専念義務等に違反した。
2011年から2024年までの14年間にわたって、勤務時間中に公用PCを私的な用途で利用し、200時間程度の職務専念義務違反が行われた。
具体的には、日記や小説を執筆していたとされる。2024/10/25百条委員会での片山副知事の証言によると、複数の女性との不倫日記だったと考えられる。後に立花孝志氏が一部公開した公用PCデータの写真によると、かなり猥褻な内容だったようだ。内容については、より詳細な情報を後日追記する。
なお「200時間」は、元県民局長の言い値である。公用PCから発見された私的なファイルは、WORD、一太郎、エクセル、jpeg形式のファイルが発見された。これらのうち、編集時間を集計できるのはWordファイルだけである。Wordファイルだけで編集時間を集計したところ、合計約250時間だった。ただし「ファイルを開いたまま、作業をしていなかった時間もある」と元県民局長が主張したため、本人の言い値で「200時間」が職務専念義務違反の時間として認定された。
実際は、もっと多かった可能性が高いだろう。特に一太郎の編集時間が集計されていないことの影響は大きそうだ。
2022年の、原田職員局長へのハラスメント文書の送付
令和4年5月、次長級職員に対して人格を否定する文書を匿名で送付するハラスメント行為を行い、当該職員に著しい精神的な苦痛を与えた。
2022年5月に、当時職員局長だった原田剛治氏に、匿名のハラスメント文書を郵送で送付し、精神的苦痛を与えた。
「一人では何もできない腰巾着さん」など、読むだけで不愉快になる、悪意に溢れた文書だと感じる。当ブログでは、以下のページで全文を公開している。